経営戦略原論 第7章

要約

 全社戦略と事業戦略の境界は、外部環境と内部環境の分析という部分で大きな重なりがあるため、曖昧に見える。さらに、多くの企業にとって多角化企業を前提とした全社戦略の議論はなじみがないため、両者は混同されがちである。また、実務家的な視点から全社戦略に必要な要素を再定義するのであれば、それに必要な要素は、組織ドメインの定義・周知・更新、全社機能の戦略検討、事業領域の管理・再編、監査・評価・企業統治、の4つがある。そして、未来には、分散協調的に多数の組織体が動的に連携して事業を創造する可能性が高い。その場合、「全社」をどの把握し、どう戦略を検討するべきか、新たな議論が必要となる。