経営戦略原論 第12章

要約 経営戦略の未来には3つの変化の可能性がある。経営における人の関与が小さくなること、個品開発・個品製造・個品販売が普及すること、取引相手が必ずしも人間ではなくなることの3つである。これら3つの変化は、相互に密接に絡み合っている。企業は、こ…

経営戦略原論 第11章

要約 現代は第2次グローバル経済の最中にある。4つの経営環境の変化が、グローバル化の流れを加速させたのである。しかし、グローバル化が進む一方、世界の市場の異質性は依然として高く、世界市場は今、セミ・グローバリゼーションというグローバリゼーショ…

経営戦略原論 第10章

要約 予測困難性、可鍛性、生存困難性のいずれかが高いと新興企業が生まれやすく、新興企業の多くが戦う事業環境では、シュンペーター型の競争が起きており、戦略検討の「定石」はそうした事業環境では不十分である。また、2000年代後半にかけて確立されたリ…

経営戦略原論 第9章

要約 人間は、認知、情報処理、時間の制約から限定合理的だと考えられ、モニタリングとインセンティブは限定合理的な人間の行動を統制する手段である。また、新制度派組織論は、人間の認知を左右する組織フィールドの理解を深めた。さらに、組織フィールドを…

経営戦略原論 第8章

要約 管理会計は、経営戦略と同じく、1965年の書籍によって体系化され、1990年代に管理会計と経営戦略の距離が大きく縮まった。BSCやKPIの議論が、非財務的情報を財務情報と接合したことが転機点となったのである。また、BSIもKPIも、その導入にあたっては全…

経営戦略原論 第7章

要約 全社戦略と事業戦略の境界は、外部環境と内部環境の分析という部分で大きな重なりがあるため、曖昧に見える。さらに、多くの企業にとって多角化企業を前提とした全社戦略の議論はなじみがないため、両者は混同されがちである。また、実務家的な視点から…

経営戦略原論 第6章

要約 外部環境分析と内部環境分析を土台として、競争優位の確立と維持のための手段を議論するのが、事業戦略立案の議論の骨格である。日本では、競争優位の確立を議論する際、イノベーション研究とマーケティング研究の知見が色濃く反映される。また、戦略フ…

経営戦略原論 第5章

要約 資源ベース理論は、産業構造と技術の変化が加速した時代に登場した。資源ベース理論の探求は、1980年代前半にはすでに始まっており、一人の天才ではなく、無数の研究者の協業が生み出した。プラハラードとハメルが実務に、そしてバーニーが研究に資源ベ…

経営戦略原論 第4章

要約 産業構造から外部環境を分析する手法の源流は、不完全競争の議論にある。この議論の発展を受けて、それを企業行動とその収益に直接的に結びつけて議論する潮流から生まれたものが、SCPモデルであり、経営戦略に応用されるようになった。。これは、1970…

経営戦略原論 第3章

要約 経営戦略の正史が始まる以前に、すでに基本的な要素は出揃っており、黄金時代の終焉が、予実管理の前提となる戦略計画の重要性を高めた。また、当初の経営戦略の焦点は多角化による長期安定的な事業成長にあり、多角化の進展後、経済停滞による事業再編…

経営戦略原論 第2章

要約 戦略の語源は、何をもって語源とするかで複数存在し、戦略の起源をさかのぼるのであれば、それは先史時代に至る。もちろん、我々がいま想像するような戦略ではないだろうが、最も広く戦略を考えるのであれば、それもいわば戦略といえる。また、人間活動…

経営戦略原論 第1章

要約 経営戦略の中核は「特定の組織が何らかの目的を達成するための道筋」である。これをつくり出すための「How」が、外部環境分析と内部環境分析の二本柱である。外部環境分析、内部環境分析以外に、状況依存する意思決定が注目されているため、創発的な戦…

「あたりまえ」を疑う社会学 第7章

要約 世の中を質的に調べるセンスを考えるうえで、「普通であること」がいかに微細に、しかも執拗なかたちで日常を覆い、私たちをとらえているのかを読み解くこと、私たちが「普通であること」に居直らず、いかにその呪縛から自由になれるのかを考えることが…

「あたりまえ」を疑う社会学 第6章

要約 エスノメソトロジーとは「人々の社会学」であり、私たちの暮らしの大半をおおっている「あたりまえ」の世界を解きほぐして、そこにどのような問題があるかを明らかにしていこうとする営みである。また、「あたりまえ」を疑うことは、世の中を質的に調べ…

「あたりまえ」を疑う社会学 第5章

要約 識字とは、ただ文字を学ぶのではない。参加者一人一人の生活世界が量的、質的に広がっていく営みであり、自分という存在をを見つめなおす過程である。ゲイスタディーズについて、性的なマイノリティとされる人々が、いま、積極的に語り出し、自らの存在…

「あたりまえ」を疑う社会学 第4章

要約 社会学で世の中を調べようとするとき、「聞き取る」という営みをよくする。そこで重要なことは、話を聞き取ろうとする人は、普段の自分の日常とは、まったく異なる文化や社会、生活を生きている他者と正面から出会うということである。 また、聞き取り…

「あたりまえ」を疑う社会学 第3章

要約 社会学には、研究者自身が、その現実のなかで「あるものになる」ことで得られる知や情報から、世界を、己自身を読み解こうとする人類学のフィールドワークと同様の営みがある。 鵜飼正樹氏の「大衆演劇への旅」には「何者かに『なりきる』ことなどでき…

「あたりまえ」を疑う社会学 第2章

要約 社会学において、人々が生きている固有で具体的な現実に出会い、人々の生きられた意味に向かううえで、「はいりこむ」という営みは必須である。研究対象の集団に「はいりこむ」ためには、入口を探すこと、人々の常識的信奉に亀裂を入れること、人々の「…

「あたりまえ」を疑う社会学 第1章

要約 量的な調査の意義は十二分にあり、「使える」ものであることは間違いない。もし、量的な発想で調査するならば、調査企画から設計、分析作業などをきちんと考えたうえで分析できる調査となるよう努力する必要がある。しかし、私たちが普段生きている意味…